私が四代目鍛冶屋の嫁になった昭和51年2月、夫は27歳でした。
工業高校卒業後サラリーマンになって間もなく
「野口式万能両刃鎌」が売れ出し、父と母では対応しきれなくなり、一年程で会社を辞め家業を手伝う事となりました。
父と協力していくつかの新製品を開発していくなかで、四代目自身が考案し、
特許取得した第一号が 平成8年7月25日 特許第2073888号の
「野口式かぼちゃスパッター」です。
大手スーパーからの依頼により考案しましたが、申請手続きには私も東京兜町まで同行し、特許の申請なるものを初めて経験いたしました。
「村鍛冶の役目とは村の衆の注文に応えること。 修理の仕事は絶対に断らず、必ずここで自分でやるんです。 村鍛冶はその鍬をだれが使うか、どこの土を耕すかよく知り、 その上で少しずつ形や柄の角度、刃先のこしらえを変えて作ったものでした。使う人の手癖まで知って農具を作ったのです。 村の衆一人一人のためにオーダーメイドの道具を作る、これが村鍛冶の役目であり、誇りです。」
JAグループ家の光協会発行 「地上」平成13年9月号『村鍛冶四代』より
技術的なことは素人の鍛冶屋の嫁ですが、百十数年続いてきた 鍛冶屋の伝統を守って、四代目とともにがんばっていきたいと思います